治水に一生を捧げた偉人

 当地方以外の県内ニュースなどを掲載するページ「NEWS東西南北」で7月、海南市で劇団KCMによって行われたミュージカル「水の如く生きる 井澤弥惣兵衛(やそべえ)」を上演前に紹介した。井澤弥惣兵衛とは江戸時代の治水に尽くした人物。記事を書く時にどこかで聞いた名だと思ったが、すぐには思い出せなかった◆思い出したのは、ある取材で元熊野古道語り部、日高町在住の杉村邦雄さん宅を訪ねた時。「弥惣兵衛さんと紀州流」(井澤弥惣兵衛さんを知ろう会発行)という絵本をくださったのだが、かなり以前にも弥惣兵衛に関する本を貸してくださっていたのだ。忙しさにまぎれてそのままになっていた◆杉村さんご夫妻はこれまで全国を旅され、「その土地その土地に興味を持って歩けば、いろんな歴史がつながってくるのが楽しい」という。治水の歴史には、南紀の熊野古道を歩いていて、日高町小池出身の白井久蔵という治水に尽くした人物の顕彰碑を見つけたことなどから関心を持った。井澤弥惣兵衛を調べるため車で海南を訪ね、最初に出会った女性に道を尋ねるとその人が弥惣兵衛の子孫だったという◆絵本では、弥惣兵衛の治水に捧げた一生がやさしく書かれる。人生の前半で紀の川の治水、新田開発などによって紀州藩の財政を立て直して五代藩主徳川吉宗に認められ、60歳を過ぎてから、江戸幕府八代将軍となった吉宗に召し出されて見沼の再開発など大きな仕事を残した◆数百年の昔から、水を治めることは「まつりごと」の最重要事項の一つであった。250年も前に国の治水事業に携わり大きな功績を残した、そんな人物が和歌山県にいた。昔の知恵を今に生かすためにも、知ることへの情熱は欠かしてはいけない。  (里)

関連記事

フォトニュース

  1. 花と歴史の香りに誘われて

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 写真=広島県江田島の海軍兵学校へ入校した俊一さん スマートな海軍に憧れて 日高地方の基幹病院であ…
  2. 写真=軍服の左胸につけていた歩兵第61連隊の徽章 連隊の自信と誇りを胸に 「最近、こんな物を手に…
  3. 写真=海軍の軍服に身を包んだ若き日の吉野さん 潜水艦搭乗で胸を病み夭折 今年の連載第1回(8月5…
  4. 写真=保養所で療養していた当時の坂本さん(後列右から5人目) 戦死した兄の敵を討つ みなべ町埴田…
  5. 写真=国民学校時代の体験を話す木下さん 子どもたちの生活にも暗い影 1931年(昭和6)の満州事…

Twitter

書籍レビュー

  1. 写真=よい睡眠について語る木村さん  ヤクルト御坊センター主催の健康教室が、美浜町吉原の新浜集…
  2.  還暦を過ぎても精力的に新作を発表し続ける東野圭吾。木村拓哉と長澤まさみ主演で映画化もされた人気シリ…
  3.  1945年8月15日正午、天皇陛下がラジオで国民に向けて終戦の詔書を読み上げ、国民はこのいわゆる玉…
  4.  テレビで見ない日はないぐらい、ニュースを視聴者に分かりやすく解説してくれるジャーナリスト池上彰氏。…
  5.  元アニメーターで江戸川乱歩賞作家、真保裕一の「行こう!」シリーズ最新作。今年5月に文庫化されました…
ページ上部へ戻る