〝石〟から広がる未知の世界

 毎週土曜夜のNHK「ブラタモリ」を楽しんで見ている。タモリらが各地を巡る紀行番組だが、食や地場産業ではなく地質学的情報がテーマ◆先日、美浜町三尾で「日高郷土学」の例会が開かれた。ウオーキングを楽しみながら歴史と文化を学ぶ企画。逢母の海岸での昼食のひととき、参加者に田辺ジオパーク研究会の方がおられたことから思わぬ勉強ができた◆幼少時、釣り好きの父がエサのゴカイを掘りに逢母の磯へ出かけるのによく連れていってもらい、岩に登って遊んだ。その時にも目にしていた、磯に幾つかくっつき合うようにしてころがる大きな黒っぽい岩石が「枕状溶岩」だという。海底火山が溶岩を噴き出し、海水で冷やされ固まる。急冷された部分に筒状の薄い殻ができる。内部はまだ溶けたままなので次々と溶岩が噴出。押されて殻が破れ、再び海水で冷えて固まる。これを繰り返し、枕がつながったような形の岩になる。周辺の家の石垣にも使われており、「こんな所は県内にもない」という。逢母の磯は地質学的にみて「非常に面白い所」とのこと◆折しも17日放送の「ブラタモリ」は石特集。串本の「橋杭岩」も紹介されていた。かつて熊野の地下では活発な火山活動があり、「熊野カルデラ」という世界最大級のカルデラがあった。橋杭岩はマグマが地中で冷えて固まり、周囲の岩が浸食されて姿を現したもの。今、目に見える自然は地球の活動の歴史の一部。足下の石一つにも、いわば地球の思い出が刻まれる◆日高地方の歴史や文化はある程度分かっているつもりだったが、地質学的なことはまったく知らなかった。自然の営みに視点の照準を合わせることでまったく未知の世界が広がる。新たな価値観で日高地方を見直す楽しみを教えてもらった。(里)

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