2020年産の県内の梅収穫量は4万1300㌧で、不作だった前年よりさらに28%減り、平成(1989年)以降で2番目に少なかったことが農水省近畿農政局のまとめで分かった。暖冬で開花が早かったことや、開花時期に一時的に低温となり受精不良が多発したことなどが大きな要因。全国に占める割合は58%で前年の65%から減ったものの、65年産から56年連続収穫量全国1位は維持した。
近畿農政局によると、台風による塩害で不作だった前年の5万7500㌧より1万6200㌧も減少した。暖冬で満開期が例年になく早かったことと、ミツバチが活発に活動する時期に一時的に低温となって活動がにぶり、受粉がうまくいかず着果数が大幅に少なくなった。さらに果実の大きさに影響を及ぼす4月下旬から6月下旬にかけての降水量が非常に少なく、果実肥大が進まず予想より小玉傾向となったことが収穫量に大きな影響を与えた。平成に入ってからは92年(平成4)の3万5200㌧に次いで少なくなった。
10㌃当たりの収穫量は841㌔で、前年より319㌔少ない。平成で最も少なかった92年でも1160㌔あり、1000㌔を下回るのは89年以来31年ぶり。81年の630㌔以来の少なさだった。栽培面積(結果樹面積)も4910㌶で前年に比べて50㌶(約1%)減っており、生産者の高齢化による廃園や他品目への転換がみられたという。市場価格は、前年産は1㌔600円前後だったが、今年は800円前後と高値だった。
全国の収穫量を見ると、7万1100㌧で前年から19%減った。収穫量2位は群馬県の5190㌧、3位は福井県の1500㌧で、他産地を大きく引き離してトップを維持した。
梅栽培に関する調査は1950年から、収穫量の調査は71年から行っている。収穫量が最も多かったのは2013年の7万9000㌧だった。