ミツバチのすむ森を復活

 みなべ町が誇る世界農業遺産に認定されている梅システム。江戸時代から400年以上伝統を受け継いできて、今の梅産業の発展がある。まちを支える梅栽培に重要な役割を果たしているのがニホンミツバチとウバメガシに代表される薪炭林であることを知る人も少しずつ増えている。自家受粉できない梅にミツバチは欠かせない。薪炭林は梅畑を守る救世主である。昔から山頂付近は薪炭林、中腹からふもとにかけての斜面に梅畑を形成してきた。薪炭林が土砂崩れや山が荒れるのを防いできたのである。しかし近年、梅システムを取り巻く環境は良好とはいえない。

 ニホンミツバチの個体数が減り、ウバメガシが不足しているのである。ニホンミツバチの巣箱は一昨年、町内で236箱だったが、今年1月時点で16箱と激減。最も大きな原因は自然林の減少とされ、スギやヒノキの人工林の山が日本の森林の半分を占める。みなべ町の山でも同じ状況なのが減少の大きな要因だ。ウバメガシは紀州備長炭の原木で、皆伐などの影響もあって以前から不足が問題となっていた。梅栽培への影響も懸念される。

 現状に危機感を持って行動に移しているのが、農業青年でつくるみなべ町梅郷クラブと、みなべ川森林組合だ。東本庄にある山の耕作放棄地で、梅郷クラブはニホンミツバチのすみかになるようにと広葉樹160本、森林組合はウバメガシ200本を植栽した。まだ小さな一歩だが、将来の梅産業につながる大きな一歩だろう。耕作放棄地や人工林を広葉樹の森に変えていくプロジェクトが必要で、行政主導で進めていくべき事業である。結果が出るのは数十年後になるだろうが、未来のために今から動きださなければならない。手遅れになる前に。(片)

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