コロナワンダリング

 8月10日は「山の日」。山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝することを趣旨とするが、この時期の山は危険が伴う。今月10日も朝から厳しい暑さとなり、家の中で仕事をしながら、座っているだけで汗が流れた。

 でこぼこで坂が続く山道を歩くのは誰でもしんどい。心身の疲れは判断能力を鈍らせ、木が茂った場所では歩きなれた道でも迷ってしまい、大峯山の修験者でさえ同じところを何時間も回ってしまうことがあるという。

 日本では昔から「キツネに化かされた」という笑い話もあるが、この現象は登山家の間で「リングワンダリング」と呼ばれ、方向感覚を失い、円を描くように同じところをさまよい歩くことをいう。

 まっすぐ10分も歩けば目的地に着くはずが、いくら歩いても到着しない。気がつけば1時間以上、同じ景色を何度も見ている。自分はたしかにまっすぐ歩いているつもりだが、わずかな左右の脚の長さの違いや骨格の歪みが無意識のずれを生む。

 広い平原や雪原でも、霧や吹雪で視界が曇り、目印がなければこの現象が起こりやすく、自分の位置がわからないまま気ばかり焦り、最悪、遭難することもある。何よりも重要なのははっきりとした目印である。

 和歌山県内も新型コロナの感染者が増加し、テレビは連日、各都道府県の新規感染者数を懸命に報じている。経済と命のどちらに重点を置くべきか。政府と地方自治体の対応、安倍政権を批判するニュースが繰り返されている。

 「きょうの東京、大阪の新規感染者数は…」。いったいいつまでこの状況が続くのか。間違いのない目標が見えぬまま、国民は視界が晴れるまで立ち止まるわけにもいかず、同じところをグルグル回っているような気がする。(静)

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