
御坊市消防本部の高機能消防指令センター運用開始式が9日、現地で行われ、最先端の情報技術を取り入れたシステムの本格運用が始まった。まちの安全と安心を万全の体制で見守るため、119番回線の光IP化で、これまで以上に迅速な初動体制を確立。「NET119緊急通報システム」の導入や各種装置の連動装備で、一層の消防・防災体制の強化が図られた。
開始式には市、市議会、市消防委員会、市消防職団員のOBらでつくる交友会、消防団、施工業者の関係者が出席。三浦源吾市長が「最新のICT技術を取り入れた指令センターの整備完了によって、迅速、安全、確実な初動体制が確立され、災害時の被害軽減や救命率の向上に大きく期待できると確信している。防災拠点の要としてさらなる消防・防災体制の充実に努めてください」と式辞を述べた。
市議会の向井孝行議長があいさつし、市消防委員会の平井俊哉会長が祝辞。本田敏文消防長が謝辞で「今後はこの施設を有効に活用し、各種災害に迅速かつ的確に対応するとともに、市民の生命と財産を守るまちづくりという消防の使命を果たすため、より強固な消防体制を築き、職務に精励していきます」と力を込めた。
以前の消防緊急通信指令システムが、2002年度の整備から15年以上経過。コンピューターの老朽化や性能低下で緊急通報受信や出動指令、無線通信に支障を来すことの懸念から、19年度に全面更新へ着手した。
今回の高機能消防指令システムはコンピューター制御の最新鋭機器で、119番回線については近畿地方で初めてという光IP回線を導入。統合型位置情報システムの連動によって、119番通報は瞬時に通報者の位置情報を地図表示し、受け付けから出動までの時間短縮が図られるとともに、災害地点を出動各部隊に指令伝送することで、これまで以上に迅速な初動体制が確立できる。
NET119緊急通報システムは、聴覚や言語機能に障害のある人が、スマートフォンやタブレットの簡単な画面操作で火災、救急を知らせることができる。このほか、消防救急デジタル無線や車両動態管理、Eメール指令、防災無線制御の各装置を連動装備することで、消防通信から各種災害活動を幅広く支援できる。
総事業費は1億9250万円、施工は松原市の株式会社富士通ゼネラル近畿情報通信ネットワーク営業部。開始式の後、テープカットと見学会があり、職員がシステムの説明やデモ運用を行った。
写真=指令センターで消防職員の説明を聞く三浦市長(右から2人目)