幼い子の母親を孤立させぬように

 また信じられない児童虐待事件が起きた。東京都内のマンションで先月、3歳の女の子が24歳の母親に8日間も放置され、極度の脱水と飢餓状態に陥り死亡した。母親は鹿児島へ遊びに行っていた。

 保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された母親は、離婚後、3年前からマンションで娘と2人暮らし。今回、娘を置いて出かける際、熱中症にならないようエアコンをつけっぱなしにし、「お茶とお菓子をいっぱい置いていったから、大丈夫だと思った」と供述している。

 昨年度、和歌山県内の児童相談所に寄せられた児童虐待に関する相談は1691件、市町村への相談は1660件で、いずれも過去最多を記録。これは全国的な傾向と同じで、国民の意識は高まっているが、悲惨な虐待死はなくならない。

 報道によると、今回の事件は母親の育児放棄(ネグレクト)とみられ、娘は普段から十分な食事を与えられていなかったようで、救急隊が発見した際の体重は3歳にしては軽かったという。

 保育園もやめており、女の子の異変は誰の目にもとまることなく、自治体や児童相談所、警察にも虐待を疑うような情報は寄せられていなかった。自治体や児相が虐待を知りながら救えなかった失敗ケースではないのかもしれない。

 わが子に身体的虐待を繰り返す親は他人にも暴力的であることが多く、自治体や児相が積極的な対応、介入に二の足を踏むこともあるが、これまで数々の失敗事例を教訓に、警察や学校などと情報を共有、連携して子どもを守る以外にない。

 育児放棄は早期発見が難しく、親自身に虐待の意識がないケースも少なくない。人との接触が少ないコロナ禍、周りに孤立している若い母親はいないか。心理的な密を心がけたい。(静)

関連記事

フォトニュース

  1. 由良のミカンも使ってます

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 出撃直前、さくら弾機が炎上 極秘扱いで「知られざる特攻機」とも呼ばれたさくら弾機は、直径1・6㍍、…
  2. 飛行機乗りが夢だった 1944年(昭和19)6月、日本はマリアナ沖海戦に敗れてサイパンが陥落し、絶…
  3. 激戦のフィリピンで6年 日米開戦直後の1941年(昭和16)12月22日、日本は米軍の支配下にあっ…
  4. 空襲に怯え、悲痛な思い 大戦末期、空襲に怯え、悲痛な思いをした御坊市島の竹田(旧姓=山﨑)玉枝さん…
  5. 根室空襲、艦載機が猛爆 大東亜戦争末期、制海権を失った日本は北海道まで米軍に押し込まれ、1945年…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  元アニメーターで江戸川乱歩賞作家、真保裕一の「行こう!」シリーズ最新作。今年5月に文庫化されました…
  2.  今回紹介するのは2005年に発行された推理小説家石持浅海の「君の望む死に方」。前作の「扉は閉ざされ…
  3.  映画「ソワレ」が御坊でも好評上映中ですが、タイトルは「夜会」を意味する言葉。そんなタイトルの司馬遼…
  4.  主演ドラマ「半沢直樹」の新シリーズが大ブレイク中の俳優、堺雅人。テレビ雑誌で連載したエッセイ集をご…
  5.  霊感はさほど強くないはずだが、なぜか奇妙な出来事に遭遇してしまう。本作はノンフィクション作家の著者…
ページ上部へ戻る