丑の日のウナギと梅干し
- 2020/7/15
- 日高春秋
7月21日は土用の丑の日。ウナギを食べる日として広く知られている。その習慣は江戸時代に遡り、蘭学者の平賀源内が知人のウナギ屋に頼まれてつくったキャッチコピーが始まりという説が有名。「丑だから『う』の付く物を食べると縁起がいい。精のつくウナギで夏を乗り越えるのは最適」とし、店頭に「本日、土用の丑の日」と張り紙をしたところ、大繁盛したことが起源とされている▼ウナギを食べる場合は、ほとんどが蒲焼き。その際、香辛料の山椒をかける文化がある。理由はウナギと山椒の香りがよく合うこと。ほかにも栄養豊富で脂がのったウナギの消化を助ける効果や抗菌作用による食中毒予防の機能もある▼ところで、ウナギと一緒に食べてはいけないと言われる合食禁(悪い食い合わせ)が当地方特産の梅干し。しかし、脂分が多いウナギの消化を促進する効果があり、医学的に食い合わせの言い伝えには根拠がない。むしろ、相性がいいぐらいで、山椒にある食中毒予防の効果も備えている。さらに梅干しの場合は、夏場の熱中症予防、疲労回復などの機能もある。土用の丑には「ウリ」「うどん」などの「う」の付く食べ物を食べるという地方もあるそうで、そういう面でも梅干しはまさに土用の丑のウナギとの相性は抜群といえる▼ならば、山椒の替わりに梅干しと一緒にウナギを食べるという習慣を広められないか。ウナギと相性が悪いという言い伝えを覆し、「そろそろ仲直りしました。実は相性はバッチリなんです」などという今風のキャッチコピーを考えてPR。平賀源内のような手法で梅の消費拡大につなげられないか。(雄)