選手のプレーに拍手を

 プロ野球が開幕した。各球場ともやたらホームランが飛び交い、無観客で鳴り物の応援がないおかげで、打者がボールをとらえた瞬間の音がよく聞こえる。

 10日からは段階的に観客を入れる方針だが、甲子園ではジェット風船を飛ばせなくなり、鳴り物のほかに声を張り上げての応援、客同士のハイタッチも禁止になるとか。

 かつてオリックス時代のイチローが「自分の打席だけでも鳴り物は控えてほしい」といい、ファンも従って鳴り物をやめたことがあった。今回の応援規制を機に、再び鳴り物禁止を支持する声も聞かれる。

 野球はプレーを予想しながら見るのが楽しい。得点機の両軍ベンチの動きやバッテリーの攻め方をみながら、打者はバントか強打か、投手は直球か変化球か。その結果に一喜一憂、自然な拍手、歓声こそがファンにも選手にも気持ちがいい。

 客の声援が選手に届き、面白いヤジに回りの客もつられて笑ってしまうメジャースタイル。野球が国民に広く愛されている国では、球場はまさに夢のフィールドであるはずなのだが、日本人はどこかずれていないか。

 スティーブン・ソダーバーグ監督の映画「トラフィック」。メキシコの麻薬捜査官が米国の取締局から金で情報を流すよう求められるが、彼は金ではなく、子どもたちが夜も安全に野球の試合ができるよう照明の設置を要求する。

 そのラストシーン。捜査官は麻薬カルテルとの壮絶な戦いを生き抜き、照明のついた球場で野球を見ながら子どもたちのプレーに拍手する。ただ、スタンドで野球を観戦できる当たり前の日常が胸に熱くしみる。

 日本のファンもコロナを機に、静かな球場で野球をじっくり観戦する面白さ、その幸せをかみしめたい。(静)

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