学校統合議論の行方
- 2020/6/8
- 日高春秋
印南町でも少子化が進み、町内4中学校統合の話が出ている。町は具体的な方針を出していないが、将来的な統合を見据えて義務教育施設整備基金を積み立てており、議会でも何度か議論になった。
記者になってこれまで何度となく小中学校や保育所の統合という話題に触れてきた。中には保護者や地域住民が強く反対するところもあり、理由の一つに「地域が廃れる」「母校がなくなるのは寂しい」というのもあった。その思いは十分に分かるが、子どもの成長や教育環境の充実を考えるならば、大人たちのエゴと言うべき感情は控えるべき。勉強にしても一定の規模があった方がいい励みになるし、スポーツも人数が少なければできない競技も出てくる。
また、反対の中には「少人数の方が先生の目が行き届き、学力が上がる」との声もある。これもまた、学力が向上するという面は一部にあるが、一概にそうでもない。それよりも子どもにとっては集団生活で得られる楽しい思い出や辛い経験、友情などの方が、将来、社会に出たときにどれほど役立つか。その上で少人数クラスに負けない学力をつけさせる教育環境を充実させるのが、行政の役割だと言える。
ここ何十年、実は統合の議論は、すでに出尽くされた感がある。最近では日高町の志賀と比井の小学校統合で、当初反対の声があったが、最終的にはゴーサイン。筆者が取材した限り、統合で一時反対の声が出ても、結局は子どものことを第一に考え、統合に進んでいる。ならば、印南町でもすでに答えは出ているように思うが、住民の声にあらためてしっかりと耳を傾け、誤りのない方向に進んでいってほしい。(吉)