追いつかないSNS上の倫理観

 先日、男女が共同生活する様子を記録した恋愛リアリティ番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラーの木村花さんが、22歳の若さで亡くなった。自ら命を絶ったとみられる。原因は番組内の木村さんの振る舞いに対し、SNS上で誹謗中傷が激化したことだった。

 この悲しい報道を受け、多くの著名人がネット上に飛び交う誹謗中傷についてそれぞれの考えを投稿。政府は、悪意ある投稿をした人の特定を容易にする制度改正の議論を本格化させる方針を示し、国内外の大手ソーシャルプラットフォームが会員として名を連ねる一般社団法人「ソーシャルメディア利用環境整備機構」は、「健全なソーシャルメディア利用に向けた啓発」「捜査機関への協力およびコンテンツプロバイダ責任制限法への対応」など6つを名誉毀損や侮辱等の投稿行為に対する取り組みとして発表した。以前から問題視されていたネット上の誹謗中傷が、ここにきて態勢が大きく変化していきそうだ。しかし、失われた命は戻らない。

 木村さんを追い詰めた多くの書き込み。書いた人たちは、今、どんな気持ちでいるのか。個人の特定を怯えているのか、言論や表現の自由を盾に言い訳するだろうか。そもそも「自分のせいでこんなことに」と後悔に苛まれている人はいるのだろうか。匿名という傘に隠れ、「その他大勢」として無責任に発言している分、何を書いたか覚えていない人もいるかもしれない。

 インターネットの急激な普及に倫理感が追いつかず、安全なところから攻撃し、あおられて心無い書き込みが増殖する。実名で特定の人などを中傷し、逆に自分が糾弾されるリスクを背負えないなら、軽い気持ちで公の場に書き込むべきではない。(陽)

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