緊急事態のいまこそ議論を

 歓楽街のほとんどの飲食店が休業となっているなか、無人の店内の現金を狙う出店荒らしが増えている。いわゆる火事場泥棒と呼ばれる混乱に乗じた犯罪で、大震災の被災地でもあったが、だれもがその悪質さに怒りがこみあげる。

 火事場泥棒といえば、中国の動きが常軌を逸している。新型ウイルスとの戦いに世界中が手を組み、力を合わせねばならないいま、南シナ海の各諸島と海域を管轄する行政区を新設すると発表した。

 中国の南シナ海支配は4年前、ハーグの仲裁裁判所が法的になんの根拠もないとして、その主張を全面的に退けた。しかし、中国はこの判断を「紙くず」とみなし、今回、以前からあるという三沙市の中に南沙区と西沙区を新設するらしい。

 南シナ海には米国が艦船を派遣し、「航行の自由」作戦を続けているが、空母の乗組員にコロナ感染者が続出している。中国はこれを好機とみたか、米海軍の危機に乗じた火事場泥棒的行為だとの見方もある。

 さらに中国は、将来の戦争の主導権を握るため、世界中の科学技術研究者を厚遇でかき集める「千人計画」なる国家プロジェクトを進めている。日本は遅ればせながら先月、内閣官房国家安全保障局に経済班を新設した。

 今年1~4月の尖閣諸島周辺の領海、接続水域に侵入した中国公船の数は409隻に上り、統計開始以来、過去最多を記録した。繰り返すが、世界がウイルスの危機対応に追われるさなかである。

 無法国家が軍事的な力と存在感を高めている。大震災を教訓に自民党がまとめた緊急事態条項創設のための憲法改正案について、感染症と安全保障関連もその想定に加え、緊急事態のいまこそ憲法審査会を急ぐべきではないのか。(静)

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