目に見えないウイルスへの恐怖

 人間は目に見えないものに対して恐怖心を感じてしまう。単純な話だが、昼間よりも暗闇の方が不気味さを感じるし、怪談が夜の方が効果的なのはそのためだろう。また、自分が直面する将来の先行きが分からない時にも不安を感じる。

 いま、世界中で蔓延している新型コロナウイルスも目に見えない敵。どこにウイルスが存在し、どこが安全な場所のかも分りづらい。潜伏期間中は非感染者と見分けが付かないし、症状が出ない感染者もいるというからたちが悪い。いつごろ終息するのかも見通しが立たず、一層不安を掻き立てられる。それは9年前の福島第一原発で、目に見えない放射能と戦った時と同じようにも感じる。

 最近では有名人の感染が後を絶たない。亡くなったタレントの志村けんさん、日本サッカー協会の田嶋幸三会長、阪神の藤浪晋太郎選手らも感染した。耳にしたことのある人が感染すると、ウイルスの蔓延を実感させられてしまう。

 先日に発覚した森三中の黒沢かずこさんは体調の不振から感染を疑ったが、2週間、PCR検査を受けることができなかったという。現状ではPCR検査を受けるにはハードルが高く、在日アメリカ大使館も「幅広く検査をしないという日本政府の決定で、有病率を正確に把握することが困難になっている」と指摘。日本に滞在するアメリカ国民に対して帰国を強く促す文書をホームページ上に掲載したこともあった。

 マスク着用などの感染予防の徹底を訴える半面、検査の遅れは感染者の増加につながりかねない。検査こそがウイルスを目に見える敵に変えるといえる唯一の方法で、早期の発見につながるのではないか。(雄)

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