
約40年間で数百億円を投入した印南町内の国道425号改良工事は、来年3月末の全線完成に向け順調に進んでいる。延長28㌔にわたり、幅員7㍍の道路を整備しており、最終9カ所目となる川又第2トンネルがこのほど貫通。地域住民の生活向上はもちろん、産業振興や同町と田辺市龍神村を結ぶ観光ルートとしての利用に大きな期待が寄せられている。
印南町内の国道425号は南谷から川又までの区間。川又からは龍神村小家の国道424号にアクセスする。この道路は1959年、龍神印南線、真妻切目線、稲原北塩屋線を統合して龍神御坊線となり、77年、十津川御坊線に改称。さらに82年4月1日、国道425号に昇格した。翌83年2月には、真妻小学校で改良事業第1期工事(皆瀬川―高串間3・5㌔)の起工式が行われ、以後、町内各地区でトンネル掘削や橋の架設を含め順次工事が進められきた。
うち最終工区となる川又工区(延長2・8㌔)は2012年度から事業着手。16年度に川又第1トンネル(延長151㍍)などが完成し、19年度から川又第2トンネル(99㍍)の掘削を進め、先月30日、貫通した。
国道425号の沿線には切目川ダムや真妻わさび、千両などの産地があり、改良事業で地域活性化につながる。町内では関係区長や議会議員でつくる国道425号改良促進協議会を立ち上げ、早期完成を推進。今年2月19日にはトンネル内の掘削の様子も視察した。同協議会の前田憲男会長(57)は「昔の道では軽トラック同士の対向もできないほどだった。待望の改良事業がようやく完成するが、本当に便利になる」と感慨深そうに話していた。
日高振興局建設部道路課や印南町建設課によると、「川又工区だけでも事業費は35億円。町内全体の事業費となると、昭和時代の古い話になるので、資料もなくはっきり言えないが、100億円以上だと思う。200億円か300億円かもしれない」と話している。
写真=トンネル掘削の様子を視察する改良促進協議会メンバーら