グローバリズムが生んだ災厄

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。WHO(世界保健機関)のパンデミック(世界的流行)宣言に続き、安倍首相も戦後最大の国難との認識のうえ、世論に押される格好でついに緊急事態宣言を出した。

 県内も宣言以降、1人、2人と新たな感染者の確認が続き、これまでの和歌山市と有田地方だけでなく、西牟婁地方や那賀地方にも感染エリアが拡大した。紀の川市の打田中学校ではクラスター(集団感染)も発生した。

 日高地方での発生も時間の問題。だれもがそう感じているのだろう。桜の花と入れ替わるように、あちこちで「〇〇でコロナが出たらしい」といううわさが黒い花を咲かせている。人々が日増しに不安と恐怖を募らせているのを肌で感じる。

 国と国の垣根を越えて、人と金、モノ、情報が行き交うグローバル社会。原材料や部品の調達、製造、配送に至るサプライチェーンが張り巡らされ、新たな商品やビジネスが生まれ、多くの国が連携して世界経済を動かしてきた。

 一方で、農産物の輸入が増えた結果、自国の農業が衰退し、国内労働者の賃金低下や失業者の増加などのデメリットもあり、ブラックマネーやテロリストといった悪い金と人の流入が社会に危機をもたらしている。

 私たちが直面しているウイルスも、以前なら発祥国の一部地域にとどまっていたはずの風土病だが、国際社会の高速ネットワークを通じて瞬く間に広がった。グローバリズムによってもたらされた最悪の災厄なのだろう。

 人々の不安がデマを生み、SNSがそれを拡散、パニックをあおる情報社会の自己免疫疾患。この危機を乗り越えた先には、EUの解体とともに新たな国際秩序の構築が始まるのかもしれない。(静)

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