
みなべ町で1日、日高地方で初めてとなる女性消防団が発足した。団員は、町民の危機意識を高めたいという高い志を持った栗山和歌子さん(48)=気佐藤=と、下野栄さん(59)=土井=の2人。今後は女性目線で町民に防火や防災意識を高める啓発活動などを展開することにしており、「災害弱者に寄り添って声を届けたい」と張り切っている。
2人は、男性の新人団員9人とともに、西原英男団長から辞令を受け取り、晴れて団員としてのスタートを切った。
栗山さんは団員募集のチラシを見たのがきっかけ。過去の台風や豪雨で自宅近くの川の増水等を目の当たりにする中で、もっと町民が防災意識を高め、行政だけに頼らず一人一人の命を守る必要があるとの思いがふつふつと沸き上がった。数カ月間悩んだが、「誰かがやらなければならないこと」と手を挙げた。「女性の目線で、母親や子どもら災害弱者といわれる人たちに寄り添って、分かりにくいことも分かりやすく伝え、共助の輪を広められるように頑張りたい」と抱負。
山の多い高城地区に住む下野さんも、川の増水や土砂災害など地区内には安全な場所は少ないと感じる中、まずは自らが災害等に対する知識と技術を高めようと入団を決めた。「地区内には以前、婦人防火クラブのような集まりがありましたが、私は訓練を受けたことがないので、家庭を守る立場から知識や技術が必要だと感じました。自分が体験して、そして若い人につなでいきたい。団員としてしっかり啓蒙活動していきたい」と話した。
当面は2人での活動となるが、「自分たちが楽しく頑張る姿を見てもらって、仲間を増やしていきたい」と声をそろえた。西原団長は「長い歴史の中で初めての女性消防団で、大いに期待しています。頑張ってください」と激励した。
町では、女性の持つソフトな面を生かして町民の防火意識を高める活動をしてもらおうと、18歳以上を対象に募っていた。男性の団員とは違って消火活動は行わず、主に火災警戒時期に広報車での町内巡回、町民への応急手当の指導や高齢者宅への防火指導、出初式への参加、訓練礼式の訓練、女性団員での定期的な会議など行う。
写真=日高地方初の女性消防団員となった栗山さん㊧と下野さん