本番よりも過程に意味

 第92回選抜高校野球大会は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、中止となった。過去には戦争の影響で大会が中断されたことがあるが、開催決定後の中止は選抜史上初。

 開催中止には賛否両論ある。一生懸命頑張ってきた球児たちに、どうにかして夢舞台でプレーさせてあげたいと思うのは当然で、やろうと思えばやれると考える人も少なからずいるだろう。ただ、一時準備が進められた無観客開催といっても選手に指導者、審判、スタッフ、マスコミらを合わせると少なくとも1000人ほどの人が関係するとみてもよく、感染拡大のリスク増はどんな対策をしても避けられそうにない。40年以上、高校野球を楽しみにしている者として選手の無念さを思うと胸が痛いが、今回ばかりは主催者の決定に異論を挟むことはできない。

 高校野球は教育の一環といわれる。甲子園という大目標を実現するために個々の技術や体力の向上を図り、チームワークを培う。厳しい練習を通じて学び、体得することはたくさんあり、教育の一環といわれれば確かにそうだろう。

 出場予定だった球児たちは全てが無駄になったわけではない。逆に春に照準を定めてやってきたことは、選抜に選ばれていなかった学校の選手たちより充実しており、間違いなく成長にもつながっているはずだ。甲子園は本番よりもその道のり、過程(プロセス)が大切というのが教育の観点からすると本質で、とくに選抜は明確な予選が行われる夏と違ってその意味合いが強いように感じる。32校の球児たちには出場校に選ばれた誇りと自信、それに積み重ねた努力を疑うことなく、気持ちを切り替えて再出発してほしい。(賀)

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