分かりやすく伝える
- 2020/3/30
- 日高春秋
もはや地球規模といえる新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中の都市で封鎖措置や外出禁止令が出されるなか、「ソーシャル・ディスタンシング」というワードを目にした。調べてみると、感染予防戦略を示す言葉で、「感染拡大を防ぐために物理的な距離をとる」という定義。海外では新型ウイルス対策で、感染リスクを低減するため人と距離をとるよう求めており、大手企業もこの方策を広める広告キャンペーンを行っている。
各社おなじみのロゴを改変することで概念や意義を視覚的に理解してもらおうという試み。いろいろネットで見たが、分かりやすくて面白かった。ファストフードのマクドナルド・ブラジル法人はフェイスブック上で、同社ロゴの黄色いアーチが2つに分かれている画像を掲載。ドイツの自動車メーカー、アウディは横につながっている4つの輪を離して並べ、フォルクスワーゲンもアルファベットの「V」と「W」を切り離してSNS上に公開している。
一方、新型コロナウイルスに関するニュースでは、聞き慣れず分かりづらい片仮名が飛び交う。世界的な大流行を意味する「パンデミック」に始まり、「クラスター」(感染者集団)、「オーバーシュート」(爆発的患者急増)、「ロックダウン」(都市封鎖)。専門家の間では日常的な用語で、日本語では正確な意味を伝える適切な表現が難しいのだろうと思う。
しかし、言葉一つで印象が違ってくるのも確か。ストレートな「都市封鎖」より「ロックダウン」の方がやわらかい感じがし、ショックや不安をやわらげる狙いがあるのかもしれないが、それは受け手の判断で人それぞれである。やはり、ありのままに分かりやすい言葉を使うべき。伝える側として、そう思った。(笑)