さよなら、みさき公園

 大阪府岬町のみさき公園が3月末で閉園することになった。1957年、南海電鉄の創業70周年記念事業として開園。87年には海が見える高台に巨大プールもオープンし、2年後には過去最多の年間来場者数、約72万人を記録した。

 しかし、その後はレジャーの多様化などから来場者の減少が続き、18年度はピーク時の半分以下の約33万6000人。南海電鉄は1年前の事業撤退表明から譲渡先を模索したが、複数の企業との交渉も条件面の折り合いがつかず、ついに閉園が正式決定した。

 みさき公園といえば、通天閣界隈を舞台とした人情漫画「じゃりン子チエ」を思い出す人も多いのでは。主人公のチエが父親のテツ、母親のヨシ江と3人で緑の電車に乗って出かけるニコニコ遊園地は、まぎれもなくみさき公園。観覧車から見える夕暮れの海、遊び疲れ帰りの電車でヨシ江のひざで眠るチエ、家族3人の幸せな時間が忘れられない。

 子どものころ、遠足の定番だったみさき公園。当時は道路事情も悪く、自身、家族で出かけた思い出はないが、テツに劣らぬ遊び人だった父が、みさき公園よりずっと遠い滋賀まで、電車で家族旅行に連れってくれた。

 その際、新大阪から京都まで、わざわざ新幹線に乗った。子ども2人はどっちも電車が好きなわけでもないが、時間にすればほんの十数分、紀州鉄道並みの短い間に、子どものためにと高い切符を買ってくれた親父の優しさがテツとだぶる。

 そんな小さな家族の大きな愛がいっぱい詰まったみさき公園がこの春、63年の歴史に幕を閉じる。アルバムの若いお父さんとお母さんと撮った写真とともに、「沁みる夜汽車」のような思い出がある方、本紙のシンポージウムのページに投稿してみませんか。(静)

関連記事

フォトニュース

  1. 和歌山から初めて掲載されました

写真集

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る