御坊の鳳生寺の十一面観音 平安時代の姿よみがえる

 御坊市湯川町富安、臨済宗妙心寺派の寺院、瑞雲山鳳生寺(岩本龍飛住職)の木造十一面観世音菩薩立像が6日、昨年4月からの大規模修理を終えて9カ月ぶりに寺に帰り、安座開眼法要と記念講話が行われた。平安時代の作で御坊市指定文化財。後年施されていた彩色を取り、制作当時の姿をよみがえらせた。岩本住職は「大変貴重な仏様が、多くの皆様のご助力で今後も後世へ継承されていくことをありがたく思います」と話している。

 同寺は中世に中紀を治めた亀山城主、湯川氏の菩提寺。今回修理された観音像は10世紀末~11世紀初頭の作とみられ、江戸時代中期の宝永8年(1711年)以来300年ぶりの大規模修理となった。費用は約420万円で、公益財団法人住友財団の文化財維持・修復事業助成を受けて実施。助成費用は250万円で残りは鳳生寺と御坊市が負担する。修理には京都府の㈲泉企画が当たり、6日朝、仏師の泉谷申一さんらの手で同寺に運び込まれた。

 像は高さ112・7㌢、クスノキ材の一木造り。全面に虫食いがあって老朽が激しく、特に右腕は外れてひもで固定されている状態だった。今回はそれらを修復したほか、表面の紙張り、丹地、代用箔等を除去。平安時代の制作当時の彫刻面をよみがえらせた。平安期の仏像の顔は厳しい表情が特徴で、この像も切れ長の目、きりっとした口元と、引き締まった表情が明らかになった。泉谷さんは「表面の彩色された部分を剥離する時、元の表面を少しでも損なわないよう細心の注意を払って作業した。そこが一番苦心した部分」と話した。

 本尊の脇仏として元通り安置され、同寺と檀家でつくる鳳生寺花園会(佐竹節夫会長)の安座開眼法要では岩本住職の読経で檀家や地元住民が献香。姫路市の虚無僧片山浪雲さんが尺八を献奏した。岩本住職があいさつ、柏木征夫市長の祝辞を奥幹夫教育長が代読、佐竹会長が謝辞を述べ、県立博物館主任学芸員の大河内智之さんが記念講話。今回の修理の成果について「構造の強化と安定、制作当初の彫刻面の把握、像内の銘文によって300年前の修理の情報を得られたこと」と説明した。「頭部の内側が大きくくり抜かれていたことがわかった。眼に水晶を入れる『玉眼』を施そうとして、結果的に中止したと思われる。理由はわからないが、目の部分の表情が変わってしまうのを懸念したとも推測される」など新たな知見を述べ、「仏像が今あるのは何度も修復され、大切にされてきた証。今回、この仏様を皆さんの力で守り、200年、300年先の人々にバトンタッチできたのは素晴らしいこと」と話した。

写真=大規模修理が終わった十一面観音像と岩本住職㊧、佐竹会長

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