広まれ!ナイストライ
- 2020/1/20
- 日高春秋
先日みなべ町で開催された梅の里中学バレーの記念講演の講師を務めた、元バレーアメリカ代表セッターでバルセロナ五輪銅メダリストのヨーコ・ゼッターランドさんが、選手に贈った言葉が印象的だった。それは「ナイストライ」。失敗には2つの形があり、ミスしたらどうしようと消極的なときのミス、逆に「よしやってやろう」と積極的なプレーの中で出てしまうミス。積極的なプレーで失敗してしまったチームメイトには、「ナイストライ」と声をかけてあげてほしいといわれていた。とてもいい言葉だ。
アメリカ生まれ、日本育ちのヨーコさんは中学、高校、大学と日本で厳しい練習の中で力をつけ輝かしい戦績を残した。卒業後、単身アメリカにわたってナショナルチームのトライアウトに合格。アメリカでの練習中に「ナイストライ」の言葉と出会った。練習とはいえ大事な場面でアタッカーがスパイクをアウトにしてしまった。ミスはしてはいけないとたたき込まれていたヨーコさんは、コーチがミスした選手に「ナイストライ」といったときに、積極的なプレーに対してチームメイトを鼓舞する言葉だと気づいたという。
世界のトップで活躍したヨーコさんが初めて聞いてから約30年経った今も、未来ある子どもたちに贈りたい言葉として選んだナイストライ。体罰や行き過ぎた指導は日本でも少なくなってきているとはいえ、積極的なプレーでのミスでも激しく叱責する指導者はまだいるだろう。勉強でも仕事でも、自分に置き換えれば積極的なプレーには叱責よりもナイストライと言われたほうがやる気が湧く。いろんなシーンでナイストライが聞こえる環境になればいいなと思う。(片)