
今春、ロシアのサンクトペテルブルクにある名門ホール、国立アカデミック・カペラ大ホールで行われる日本高校吹奏楽連盟の海外演奏事業「全日本特別選抜吹奏楽団 日本・ロシア地域交流年 特別記念コンサート」に、日高川町和佐の和歌山南陵高校から江川颯太君(1年)が参加する。全国クラスのコンクール出場者らを対象に結成される国内最高の吹奏楽団で、パーカッション奏者を担当。迫る大舞台を前に練習にも熱が入っている。
国際的に活躍する生徒の育成や国際音楽文化交流を目的に毎年、世界各国の名門ホールを会場に行われている海外演奏事業。21回目の今回訪問するサンクトペテルブルクは芸術都市として知られ、なかでも国立アカデミック・カペラは創設540年以上と同都市で最も古い歴史がある。大ホール2階にはギャラリーが増設され、絵画などの現代アート作品も展示。音楽分野だけでなく幅広い芸術の拠点として親しまれている。
日本代表の団員は約100人。全国クラスの実力を持つ高校生が中心となり、高い技術を有する指導者らも加わる。指揮者は日本高校吹奏楽連盟理事長で和歌山南陵の指導顧問も務める遠山詠一氏ら。遠山氏から、前回同行指揮者として参加した同校音楽教諭の竹下遼さん(31)がコンサートミストレス(リーダー)をサポートする役割を担うクラリネット奏者として指名を受け、竹下さんが推薦する形で同校から江川君と、講師で吹奏楽部顧問の山脇裕介さん(42)もメンバー入りが決まった。山脇さんはチューバを担当。
江川君は打田中出身。パーカッション歴4年で、マーチングコンテストの関西大会で竹下さんから声をかけられて同校に入学した。いまはほぼ連日、3時間以上練習に打ち込んでおり、「すごい人たちの演奏についていけるのか心配だけれど、みんなに迷惑が掛からないようにしっかり頑張りたい」と大張り切り。さらに「ロシアの音楽も含め、いろんなことを学んできたい」と目を輝かせている。
コンサートは現地時間で3月25日午後8時に開演。日本の団員は7、8曲演奏するという。竹下さんは「私たちの参加で和歌山の吹奏楽が盛り上がるきっかけになれば」、山脇さんは「ロシアの空気感を肌で感じ、ロシア音楽の背景に触れ、今後の音楽指導に生かすことができれば」とそれぞれ話している。
写真=パーカッション奏者の江川君