県文化賞にがん分子標的薬の酒井氏

 今年度の県文化表彰受賞者が決まった。文化の向上発展に顕著な業績のあった人をたたえる文化賞には、難治がんのメラノーマ(悪性黒色腫)に著しい効果を示すがん分子標的薬を開発した、湯浅町出身で日高地方にもゆかりが深い京都府立医科大大学院医学研究科創薬医学特任教授の酒井敏行氏(66)=京都市=が選ばれた。表彰式は来年1月24日、県庁正庁で行われる。

 酒井氏は耐久高校から京都府立医科大に進み、34歳から約3年間はハーバード大に留学。その後、発がんメカニズムに関する研究に取り組み、発がん原因分子のみを標的とする副作用の少ない分子標的薬MEK阻害剤トラメチニブ(商品名メキニスト)を開発した。6年前に米国で承認されたのをはじめ、現在は日本を含め80カ国以上でメラノーマの第一選択薬として使用されている。メラノーマ以外にもBRAF変異非小細胞肺がんや甲状腺未分化がんにも大きな効果をみせており、日本発の画期的新薬として国際的にも極めて高い評価を受けている。

 子どものころは、由良町大引の和歌山室内管弦楽団監督、中西忠さん(87)にバイオリンを習い、小学生のころは中西さんが指導、指揮を務めたアンサンブル御坊のメンバーとして、御坊市中町商店街の紀州信用金庫(現きのくに信用金庫御坊営業部)のコンサートホールや美浜町の松原小学校の体育館で演奏活動を行っていた。

 今回の文化賞受賞に際し、「私は湯浅町の出身で、耐久高校在学中に弟を骨肉腫で亡くし、がん研究の道を志しました。京都府立医科大を卒業後、今日まで研究を続け、おかげさまで遺伝子の突然変異以外の新しい発がん機構を見いだすことができたほか、極めて多くの難治性がん患者を救済することができる画期的抗がん剤を開発できました。私はこれからも和歌山県の出身であることを誇りとし、地道に研究を続けていきたいと思っております」と話している。

写真=県文化賞に選ばれた酒井氏

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