何が出るか、究極の玉手箱

 「来年のいまごろ、はやぶさ2が地球に持ち帰ってくる物質はどんなものなのか。これまでに見たどの隕石とも違う気もする。それによって何が分かるのか分からない。これは科学に大事な『なぜ』の究極のかたちであって、期待度は100%です」。

 8日に開かれた日高高校同窓会全員総会で、約10年前にはやぶさが小惑星イトカワから持ち帰った物質を分析したチームの1人、同校出身の圦本尚義北海道大教授がはやぶさ2のサンプルリターンについて、興奮を抑えきれない様子で話されていた。

 はやぶさ2は2014年12月に打ち上げられ、約4年半後の18年6月、火星と木星の間にある小惑星リュウグウに到達した。9月には天体の表面を移動、観測する探査ローバーを投下し、世界で初めてとなる小惑星への着陸、移動、写真撮影を成功させた。

 今年2月、1回目のタッチダウン(接地)を行い、表面の岩石のサンプル採取に成功。4月にはよりフレッシュなサンプルを得るため、地表に弾丸をぶつけて人工クレーターの造成に成功。さらに7月、2度目のタッチダウンとサンプル採取に成功した。

 地球からの距離はざっと2憶8000万㌔、光速でも15分かかるという。そんなはるかかなたへ探査機を到達させるだけでも想像を超えるが、ひとつ間違えば290億円の事業費と10年の苦労が一瞬にして灰塵に帰すプロジェクトメンバーの緊張感たるや、どれほどのものか。

 地球生命の起源の手がかりを教えてくれると期待されるはやぶさ2。圦本教授はいまやそれ以上に、何が分かるのかさえ分からないことの方がエキサイティングだという。科学者として究極の玉手箱、それを最初に開ける地球人になるのかもしれない。(静)

関連記事

フォトニュース

  1. ボクはどれにしようかな

写真集

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

  1. 南部梅林

    2月 1 @ 12:00 AM - 3月 1 @ 12:00 AM
  2. ごぼうまちゼミ

    2月 8 @ 12:00 AM - 3月 15 @ 12:00 AM

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る