ルーツをたどる心に響くもの

 初開催の和歌山県人会世界大会が24日に始まり、県民文化会館で行われた記念式典には、北、中、南米など8カ国から来日した11団体約280人と国内各地の県人会員ら合わせて約2000人が参加した。

 式典の翌日から3日間は「ふるさと巡りツアー」が企画され、在外県人会員が紀北、紀中、紀南の3コースに分かれ、縁故者や地域住民、高校生らと交流し、名所も訪れた。紀中コースには約50人のカナダトロント在住の県人会員が訪れ、その様子を担当する美浜町で取材した。

 1世紀前、美浜町三尾から多くの住民が移民したのはカナダのスティーブストンで、今回はトロントからの訪問のため、美浜町に直接ゆかりのある人は少数だった。その人たちは、古い知り合いや親、祖父母を知る人との再会、出会いを喜び、つながりを感じていたが、町にゆかりのない人たちも、ルーツを持つ国、県に住む地域の住民らの心からの歓迎に感激し、交流を楽しんでいた。

 その中でも印象的だったのが、三尾在住で自身も移民者の子孫である女性が、母が口ずさんでいたのを聞きおぼえたという「移民送出の歌」をうたったときだった。かつてカナダに渡る人を送り出すときに三尾でうたわれていた歌で、詩吟のような節で、もの悲しくもあり、力強くもあった。歓迎会の席で披露され、県人会員は皆、目を閉じ、聞き入り、心の奥で響く何かを確かめているように見えた。

 県人会員とは言え、カナダで生まれ育ち日本語が分からない人も多く、三尾出身者も初めて聞いた歌だったと話していたが、いずれも県人のルーツを持つ心を強く打ったようだった。遠く離れれば離れるほど故郷を思う気持ちは募るのかもしれない。(陽)

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