ビブリオバトルで収穫

 今年も御坊市立図書館のビブリオバトルが行われた。中・高生10人が出場し、チャンプ本は朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」と住野よる「また、同じ夢を見ていた」。同じ著者の別作品を読んだことがあり「この2冊も早速読もう」と決めた◆「星の王子さま」「平家物語」は有名だが、「星の王子さま」は昔からの岩波版と違って池澤夏樹訳、「平家物語」は筆者と同年代の作家古川日出男訳だという。そういうものが出ているとは知らなかった、と読むことに決める。ちばあきお原作「キャプテン」は70年代の野球漫画の小説版。これもぜひ読んでみたいとチェック。黒柳徹子「窓ぎわのトットちゃん」は昔、森見登美彦「有頂天家族」は最近借りて読んだが、細部が生き生き再現され、読み返したくなる。岩貞るみこ「ドルフィンブルー フジ、もういちど宙へ」は人工尾びれをつけたイルカの話。ニュースで見ていたのでぜひ読みたいと思う◆なじみがなかったのは小林泰三「神獣の都」と乙野四方字「僕が愛したすべての君へ」だが、「神獣…」は京都を舞台にした裏の戦いの物語と聞き、万城目学の「鴨川ホルモー」と読み比べたくなった。「僕が愛した…」は「君を愛したひとりの僕へ」と対になっている。「単品でも楽しめるか」と質問があり、発表者は「十分楽しめますが、対の方を読んで、もう一度こちらを読むと…泣けるんですよ」と答えた。その実感こもった言い方で、すごく読みたくなった。ネット上の書評で「泣ける」と見てもおそらくこんな風に心は動かされない。これがビブリオバトルの醍醐味だろう◆要するに全部読みたく、あるいは読み返したくなったのである。10代の人達がこんなに本との幸福な関係を築いているのを目の当たりにできて心強さを感じた。(里)

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