支援の手はすぐそばに

 昨年、内閣府が初めて中高年を対象に「ひきこもり」について調査した。40~64歳で全国に推計61万3000人がひきこもりの状態であると調査結果を発表。7割以上が男性で、ひきこもりの期間は7年以上が半数を占めた。15~39歳の推計54万1000人を上回り、ひきこもりの高齢化、長期化が深刻な問題になっている。今年5月には神奈川県川崎市で長期間ひきこもり状態だった51歳の男性が20人を殺傷する事件が起き、翌月には東京都練馬区で76歳の元農林水産省事務次官が、ひきこもりがちで暴力もふるっていた44歳の長男を刺殺する事件も起きた。この事件をきっかけに全国的に中高年のひきこもりに対する相談が増えているという。

 先日、美浜町では、民生・児童委員がひきこもり者やその家族への対応法の研修を行い、その様子を取材した。講師は、日ごろからひきこもり者の支援を行う保健所の精神福祉士。講師によると、生涯でひきこもり状態を経験する人は人口の1~1・2%とされ、現在、日高地方には推計400人いることになるという。しかし、この2年間で行政、民間の支援機関に相談が寄せられたのは合わせて90件。そのうち市町や保健所への相談は4分の1にとどまった。地元の役場などには、近所の人や知り合いが働いており、世間体を気にして相談できないのが原因だ。どこにも誰にも相談できない人がたくさんいるのだろう。

 先の事件から、ひきこもり者に対する偏見も懸念されているが、ひきこもり期間が長期化するほど、外に出る気力も機会も失われていくのではないだろうか。一歩踏み出すことに焦りは禁物だが、その勇気を持つために必要な支援の手は、すぐそばに差し伸べられていることに気づいてほしい。(陽)

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