印南の老舗「平五練羊羹」が年内で閉店へ

 印南町印南で120年間続く手作りようかんの老舗「平五練羊羹(へいごねりようかん)」が、今年12月30日で閉店する。4代目の成田忠司さん(80)が昔ながらの製法で伝統の味を守ってきたが、後継者がなく自身の年齢もあって苦渋の決断。馴染み客からは惜しむ声が出ており、感謝の気持ちを込めながら、最後の最後までこだわりの〝練り〟を貫く。

 平五練羊羹の店名は、初代の平五郎さんに由来。2代目の房吉さんの一人娘尚枝さんが25歳で亡くなったため、3代目として好二郎さん(旧姓=川上)を養子に迎えた。その好二郎さんの長男が現店主の忠司さんで、地元にあった大日本除虫菊株式会社(キンチョー)で働く傍らようかんの製法を学び、40代で店を引き継いだ。

 ようかんには北海道から取り寄せた小豆と砂糖、寒天を使用。樮川で買い付けた高火力の薪(ウバメガシ)を使って大鍋で約2時間、焦がさないよう付きっきりでかき混ぜ、じっくりと煮る。ようかん作りを支えてきた妻の智恵子さん(77)からは、高齢化に伴いかくはん機の導入なども勧められたが、伝統の味を守るためあくまで自分の手を使って練ることにこだわった。また、あずきは炭酸であくを抜き切ることで、さっぱりした後味に仕上がるという。

 忠司さんは「子どもは3人いるが、いずれも県外で働いている。かといっていまから別の誰かに引き継いでもらって、もし伝統の味が変わるようなことがあれば先祖の顔をつぶすことになってしまう。和歌山市や大阪からも買いに来てくれるお客さまもおり、閉店するかどうか大変悩みました」と苦しい胸の内を明かす。「ご愛顧いただいたお客さまには本当に感謝。妻も本当によく頑張ってくれました。閉店まであと3カ月足らずですが、しっかり頑張ります。そのあとは金婚式を迎えた妻と旅行でもしたいですね」と目を細める。

 昔から買いに来ている地元の主婦村中和代さん(75)は「ここのようかんは鍋の底まで商品に出来るぐらい手間暇かけていると評判。法事でもこれがないと始まらないというぐらい重宝していたので、閉店は残念で仕方ないです」と寂しそうに話していた。

 ようかんは1本500円。特注のしをかぶせた箱入りは、2本1200円、3本1750円など。問い合わせは℡0738―42―0056。

写真=伝統の製法で作ったようかんを切る成田さん

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