戦争、平和とは何か

 「おかっぱの 頭(づ)から流るる 血しぶきに 妹抱きて 母は阿修羅に」。6日に74回目の原爆忌を迎えた広島で行われた平和記念式典で、平和宣言に引用された短歌である。詠んだのは当時5歳だった女性。広島市内の自宅玄関先で学校に行く姉を見送った直後に原爆が落ち、立ち尽くしていると、母がガラス片が頭に刺さった当時3歳の妹を抱きかかえて家から飛び出してきた。鬼気迫る母の表情に息をのんだと、詠んだ心情が大手新聞に掲載されていた。

 その女性はほかにも「どぶ川に 人人人が 流れゆく 言葉にならぬ 言葉を発して」などを詠んでおり、原爆の恐ろしさが伝わってくる。子どもたちには、なかなか想像できないかもしれない。筆者も戦争を知らない世代であるが、広島の平和記念資料館を見学した人ならこれらの歌に詠まれた当時の惨状が伝わるだろう。日本人として一度は訪ねてもらいたい場所である。

 本紙ではことし、6日付から戦争体験者の連載「終わらざる夏」が始まった。終戦から74年、体験者は少なくなる一方で、現役兵士として外地に赴き、生きて帰ってきた人は日本全国でも数少なくなっている。リアルな体験談を、当時の惨状を伝え、次の世代に継承していくのは地方新聞の大きな役目の一つ。ぜひ子どもたちにも読んでもらいたい。

 いまの日本は平和である。74年前まで戦争をしていたといわれてもピンとこないほどに。だからこそ、戦争でどのようなことが起こっていたのか知ることが大事で、知ろうと思うことが第一歩。本紙連載がそのきっかけになれば。平和とは一体何なのか、8月15日を前に皆が少しでも考えるだけで、また一歩平和に近づくだろう。(片)

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