人はなぜ自分のルーツをたどるのか

 先日、会津藩士で画人でもあった丸山抱石(ほうこく)の子孫が、先祖が贈った書額を見るため御坊市の浄土宗往生寺に訪れたのを取材した。鳥羽伏見の戦いで敗走した山川浩ら傷ついた会津藩士を御坊日高の人々が助けたことが縁となり、戊辰戦争から150年を経た昨年から、記念事業などで一層の交流を深めているのは本紙に何度となく掲載された。その中に、同寺で見つかった書額の記事があり、自分たちのルーツを調べていた抱石の子孫がネット上で記事を見つけたのをきっかけに、全国各地に広がった親戚のなかで、関西在住の3人のひ孫と1人のやしゃごが来訪することになったのだった。先祖の書を前にした4人に話を聞いていると、ひ孫の丸山武張さんが「父が生きている間に、もっと、先祖の話を聞いておけばよかったのだが」と話し、「聞ける人がいるうちに聞いておいたほうがいいですよ」と言われた。

 筆者の生家は、祖父母が夫婦養子なので、先祖と言われて思い浮かぶのは、筆者が小学1年のときに突然の事故で他界した祖父。61歳。教師を定年退職した年の秋だった。菊作りが趣味で、ニワトリや九官鳥、クジャクなどを飼い、保育所のお遊戯会では毎年ビデオ撮影をしてくれた。厳しい人だったが、もっと長生きしていたら、どんな話ができただろうと想像する。戦時中は出征していて、本紙に戦争体験を語ってくれる人を探す中、祖父の経験を聞き取りでき、後世に残すことができたらよかったのにと思う。

 仕事をしていると教え子など祖父を知る人と出会うことがある。家族以外から見た祖父の姿が新鮮で、そこに確かに居たことを実感。再会できた気がして、ルーツをたどる人の気持ちが分かったような気がした。(陽)

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