
みなべ町は、特産である紀州備長炭を生産する技術者を育成しようと、県の今年度新規事業「Wakayama Love ドラフト」を通じて炭焼き職人1人を募集している。紀州備長炭は高い品質が全国で人気となっているが、産地のみなべ町では後継者の確保が大きな課題の一つで、やる気のある人材を県内外から募る。町も空き家の紹介などバックアップし、地域の伝統産業の継承に本腰を入れる。
和歌山が誇る紀州備長炭はみなべ町の特産の一つだが、生産量は減少傾向にあるのが現状。生産者の高齢者化、原木の減少などが要因で、全国的にも高い評価を受けている製炭技術を継承するため、町備長炭生産者組合が中心となって後継者育成に力を入れることにした。
町によると、備長炭の生産量はここ数年、220㌧前後で推移していたが、2017年度は約178㌧に減少。組合加盟の生産者は32人で、以前に比べて減少している。
「Wakayama Love ドラフト」はインターネットで公募し、市町村が人材をスカウトする事業。みなべ町は「炭焼き職人、求む」として求人を出している。すでに数名が応募しており、26日に大阪で応募者と面談し、互いに条件などが一致すれば現地を見てもらうなどして、うまくいけば採用となる。
みなべ町清川地内の町が所有する研修窯を使い、ベテラン製炭士から指導を受け、技術の習得に励んでもらう。住む場所は町が空き家などを紹介して支援することにしている。修業期間は少なくとも1年間必要で、一人立ちするまでの期間、生活するための貯えが必要となっている。
ホームページの紹介コーナーでは、「製炭技術をプロの製炭者から学ぶことができ、技術習得後は独立して製炭業を営むことができる」「里山とともに生きる強い覚悟と里山に対する優しい思いやりが必要」などと、やる気のある人材を求めている。町では「将来、製炭業を営みたいと考えている人にはぜひ応募してほしい。やる気のある人が来てくれることになればうれしい」と期待を込めている。
写真=全国で人気が高い紀州備長炭の職人を育成する