89歳の花田さん 日高高校に恩返し

 72年前の1947年(昭和22)、日高高校の前身、旧制日高中学校で教師をしていた父が突然死した際、教え子の生徒たちがお金を集めて支援してくれた恩を返したいと、和歌山市に住む花田瑞江さん(89)が11日、日高高を訪問。「いまの生徒たちの役に立ててほしい」と100万円を寄付した。

 東京で生活していた花田さんは、1937年(昭和12)7歳のころ矢田村入野(現日高川町)出身だった父実さんの故郷、和歌山に帰郷し、美浜町の田井畑で生活を始めた。日本画の画家だった実さんは美術教師の仕事に就いた。

 瑞江さんは有田高等女学校へ3年間、日高高等女学校へ1年間通ったが、戦時中のため勉強がほとんどできず「勉学の時間を取り戻したい」と和歌山師範学校(現在の和歌山大学)へ進学した。

 大学2年の1947年秋、当時、日高中学校に勤務していた実さんが46歳という若さで病死。瑞江さんら家族は突然一家の大黒柱を失い、路頭に迷った。

 そんな時、父の教え子の生徒たちが「残された先生の子どもさんへ」とお金を集め始めた。活動はどんどん広がり、全校生徒が参加するまでになった。花田さんは集まった寄付と奨学金などで学業を続けることができ、6歳下の弟とともに教師になり、以降32年間、有田郡の小中学校で教壇に立った。

 89歳という高齢になり、財産を整理する中、長年考えていた日高中学校の生徒たちへの恩返しを実現しようと、弁護士の海堀崇さん(和歌山市)に相談し、寄付することになった。

 11日は海堀さんとともに来校。当時を振り返り「日中(日高中学校)の全校の生徒さんたちはお金を集めてくれただけでなく、美浜町のお寺で学校葬も挙げてくれ、全校生徒がお参りもしてくれました」と感謝の気持ちを述べ、「当時の生徒さんの気持ちに応えるため、いまの生徒さんのためになれば」と寄付金を手渡した。池田尚弘校長は「ありがとうございます。花田さんの話を生徒に伝えるとともに、有効に活用させていただきます」と受け取った。

写真=日高高校を訪問した花田さん(前列左)と池田校長(前列右)ら

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