頼もしい「少年メッセージ」
- 2019/6/4
- 日高春秋
日高地方青少年育成県民運動推進委員連絡協議会主催、「少年メッセージ2019」日高地方発表大会を取材した。他の取材と時間が重なり、実際の発表は半分しか聴くことができなかったが、出場の中学生20人の原稿を読ませていただいた◆ありのままの自分自身とまっすぐに向き合う視点。家族や友達など身近な存在を深く見つめる視点。現代社会の世相や世界情勢、自分の生きる今の時代へと向けられる大きな視点。県大会に進出した2人を含め入賞は5人だったが、20人ともそれぞれに自身の考えを「メッセージ」として自分以外の人に伝えられるよう、しっかりと言葉をつむいでいた。携帯電話を巡る問題、性差別の問題、多発する犯罪の問題など、いまという時代の暗い面に注がれる、若い果敢なまなざしは頼もしい◆筆者は中学生だった頃、自分の考えたことを書く面白さを知った。モスクワ五輪ボイコット問題などがあり、世の中には理不尽なことが起こり得るとわかってきた頃でもあった。しかし自分の声を使って考えなどを表現することは大層苦手で、特に克服への努力をすることもないまま現在に至ってしまった。今も、人前で話をしてもほぼ何を言っているか分かってもらえないだろうと思う。演壇に立つ中学生がまぶしく見えた。優秀賞を受けた2人は「聴いてくれる人に、思いを伝えられたと思う」と笑顔を見せていた◆自分自身を取り巻く世界の有り様、その実情が少しずつわかり始める年齢である。理想と現実の差にも直面する。心身が急激に成長する年代、この時期に向き合った問題による葛藤が大きければ大きいほど、それを乗り越える力を自分のものにした時には心はより深く、広く、大きな器へと育っていくのではないだろうか。(里)