非日常の体験こそが観光資源

 先日、4月に入省した厚生労働省等の職員3人が由良町で新人研修を行った。5日間滞在し、観光名所の白崎海岸、戸津井鍾乳洞、興国寺などを見学したほか、農業者らとの意見も交換した。最終日には成果発表会が開かれ、感じたことなどを報告。「きれいな海があり、住民も親切。海の幸、山の幸がとてもおいしい。こうした魅力をもっと外部に発信すべき。地元に住んでいる人には当たり前と思っていることでも観光資源になる」と強調した▼これと同じことを、以前に担当したみなべ町で経験した。アカウミガメの産卵の調査に東京から訪れたボランティアの人を取材した時のこと。その日は上陸がなく、「きょうはウミガメが見れなくて残念ですね」と声をかけると、「それはそうですけど、こんな場所で過ごせただけでも十分です」という答えが返ってきた。詳しく聞くと、「真っ暗な砂浜で、波音しか聞こえない。星空もきれい。都会では決して体験できない」という。筆者にはこの発想がいままでなく、地域の魅力に気付かされた▼近年、各自治体は観光事業に力を入れているが、一部では「観光資源に乏しいから難しい」という声を聞くこともある。しかし、気づいていないだけで、観光資源はたくさん埋没しているのかもしれない。都心部ではきれいな川や海で遊ぶことも難しい。山歩きもすぐにできるというものでもない。食べ物でもモクズガニ、天然アユなどはなかなか口にすることはできないだろう▼都会には楽しい場所やおいしい物はたくさんある。しかし、観光客が求めているのはそれとは違う非日常の世界。そういう資源に目を向けることも一つのアイデアではないか。(雄)

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