集団左遷 江波戸哲夫著 講談社文庫

ドラマ「集団左遷!!」のもう一つの原作、「集団左遷」。タイトルは同じですが、こちらは銀行業界ではなく不動産業界が舞台となっています。バブル崩壊直後という時代背景も今とは違い、そういう視点で見ると興味深いところも多いかもしれません。

物語 大手の不動産会社、三有不動産。バブルが弾けて業績は悪化の一途。副社長の横山は大規模なリストラを目論み、社の方針に逆らったり能力の低い社員50人をひとつの部署に集めた。新設されたその部署の名は、「三有不動産首都圏特販部」。バブル期にいわゆる「地上げ」を繰り返して手に入れた土地が、バブル崩壊後は売れなくなって価格は下がる一方。不動産不況の嵐が吹き荒れる中、首都圏で売れ残っている数多くの物件を売りさばくという難題がその50人に押し付けられた。売れなければもはや会社に居場所はない。

瀬戸際の彼らを率いる孤高のリーダーは篠田洋本部長、45歳。横山のたくらみを逆手にとり、会社を起死回生に導く業績を挙げようと奮闘するが…。

ドラマと違って、こちらにはコメディー的要素はなく、それどころか、主人公を悲劇的な結果が待っていることは冒頭からいきなり明かされます。目覚ましい活躍を見せる本部長がいかにして悲惨な道をたどるかが、読者の興味の焦点になるかもしれません。

ドラマで神木隆之介演じる滝川はこちらに登場。三上博史が「怪演」している悪役、横山もこちらのキャラですが、やはりというか当然というか、人物像はまったく違います。

映像化された原作を読む楽しみは、まず読んでから、制作者の視点になって映像作品をチェック。「自分ならこうするのに」という目でみるのも楽しいです。ちなみに10年前、柴田恭兵主演で映画化もされています。

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