銀行支店長 江波戸哲夫著 講談社文庫

 TBSの人気のドラマ枠、日曜劇場。現在、福山雅治主演で放映中の「集団左遷!!」原作小説をご紹介します。このドラマの原作は2冊。2本の長編を一つに組み合わせ、なおかつそれをコメディー化するという離れ技が行われています。
 まずは、主人公の設定を踏襲している「銀行支店長」から。
 物語 大手の都市銀行、三友銀行新川支店の支店長を務める片岡史郎。新川はバブル期に立ち上げられた支店で、そこで800億円という無茶なノルマを見事達成した手腕を誇る。が、バブルが弾けてからは業績も右肩下がり。なんとか持ち直そうと顧客を広げるよう奔走している矢先、副頭取に呼び出され、「飯田橋支店」への異動を命じられた。
 三友は数年前に大昭和信用金庫を吸収合併したが、かつてその大昭和の本店だった店だ。三友系行員は大昭和系を陰で「難民」と呼び、大昭和系の多い支店を「難民キャンプ」と揶揄している。大昭和系の行員は三友系の行員に反感を持っており、飯田橋支店はなかなかうまく治まらず業績も上がらないという。
 片岡は、飯田橋に現在いる三友系の行員5人をみんな本部に戻してもらい、自分の腹心の部下2人だけを連れて乗り込んで行くことにした。
 飯田橋支店の次長は真山徹、大昭和系の中心人物。がっしりした体つきで、銀行員というよりは建設会社の現場監督のようだ。
 1000億円という、本社から課せられた預金残のノルマを巡って、早速片岡と真山は対立する。是が非でも達成しようとする片岡、無理なことは無理だと頑張る真山。真山の大口得意先、田口るみビューティサロンが新しい機械導入のため11億円の大口融資を求めており、片岡は契約へせっつくが真山の動きが鈍い。「あそこは信用できない」というのを無理に進めて契約寸前にこぎつけるが、週刊誌にビューティサロンのスキャンダルが掲載され…。
 原作とはいいながら、2作ともドラマとはまったく違う展開。コメディーになっているのは、同じ日曜劇場の大ヒット作、池井戸潤原作「半沢直樹」との差別化を図っているのかなと思いました。
 現在第4話まで放映されているドラマでは、福山雅治が「頑張れ」を連発して空回り気味の片岡支店長をコミカルに熱演。
 小説の方の主人公片岡は、非協力的な部下に囲まれ、家では娘の不登校という悩みを抱えながらも、怒涛のように押し寄せる難問に必死で立ち向かっていく「できる男」としてカッコよく描かれています。
 ドラマの脚本は、いずみ吉紘氏。数年前に「デス・ノート」のドラマ版を手がけた人物なので、手腕をどう発揮してくれるか楽しみに見ています。

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