東光寺ゆかりの愛伝説

 先日、印南町印南地内で行われた同町文化協会(歴史文化)の寺子屋「ふるさと塾」を取材した。東光寺を出発し、のこぎり坂、徳本上人碑、富の川、東宮さんなどを巡るコースで、会員にとっては地元の歴史にあらためて目を向け、深く味わう機会になったと思う。

 道中は東光寺住職の嶋田隆道さんが解説。語り部ではないそうだが、細かく説明していただき、勉強になった。そんな東光寺には、県指定文化財のナギの古木がある。根周り4㍍、樹高20㍍、樹齢700年以上。県内では熊野速玉大社のナギが最古で東光寺のナギは2番目に古い県指定文化財だという。ナギは海の凪(なぎ)に通じ、波立たない人生が送れるとして、お守り袋にナギの葉を入れて信仰する人も。さらに、嶋田さんが言うには、葉が切れにくいことから縁結びのお守りになるが、引っ張る方向を変えるとすぱっと切れる。つまり「男女の縁は力の持ちよう一つで変わる」と説明。うまいこと言うものだ。

 印南町には「聖の君・瀧姫」「鰹節始祖角屋甚太郎子孫・角屋悲恋」「小栗判官・照手姫」の3愛伝説があり、東光寺が小栗判官と照手姫伝説の舞台。変わり果てた姿の小栗判官を引き連れて照手姫が同寺に立ち寄って願掛けし、薬師如来のお告げを受けて湯治したところ完治したというストーリー。ナギの木の話も含めて、東光寺には男女の仲に由来する物語がある。

 観光振興には名所、史跡など地域ならではの資源が必要だが、さらに魅力を付け加えてくれるのが、それにまつわる物語。印南町にも磨けば光る素晴らしい観光資源があり、いまさらながらその一端を見せていただいた気がする。(吉)

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