思いやりの「和歌山走り」
- 2019/5/18
- 日高春秋
滋賀県大津市の県道交差点で8日、散歩していた保育園児や保育士らの列に車が突っ込み、16人が死傷する事故があり、大きく報道された。それらによると、右折しようとした乗用車が、対向車線を直進してきた軽乗用車と接触、軽乗用車が園児らをはねたとみられている。乗用車の運転手は「前をよく見ていなかった」と供述。この事故の悲惨さや痛ましさを心に刻み、同様の交通事故が防がれればと思う。
また、この事故に関連し、長野県松本市の市長が「松本走り」といわれる自動車運転マナーの悪さを指摘。松本走りは▽対向車がいるのに強引に右折▽対向車が左折する隙を見て、ほぼ同時に右折▽ウインカーを出さずに進路変更――が特徴で、定例記者会見の中で注意を呼びかけていた。ほかにも「茨城ダッシュ」「山梨ルール」「名古屋走り」「伊予の早曲がり」という危険な運転の「ローカルルール」が全国各地にあるという。
11日から春の全国交通安全運動が展開されており、「横断歩道における歩行者優先の徹底」が交通安全県民運動の重点の一つになっている。県警と県交通安全協会の資料によると、和歌山県の信号機のない横断歩道での車の一時停止率は、1・4%(全国平均8・6%)で、全国ワースト3位(2018年JAF調べ)。横断歩道に近づけば横断者や横断しようとする人がいないか確かめ、いれば一時停止して歩行者を渡らせるのがルールである。横断歩行者妨害は交通違反で、罰則は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金。不名誉なローカルルールとして称されるのではなく、横断歩行者を優先する思いやりの「和歌山走り」を実践しよう。(笑)