反日・反米で八方ふさがり
- 2019/5/22
- 日高春秋
9回裏、二塁打を打たれ、一打サヨナラのピンチ。1人で投げ抜いてきたエースに、コーチと捕手が駆け寄る。次打者は三番。ベンチの指示は「敬遠」。エースは不服ながら、苦笑いでうなずく。プロ野球ではこんなシーンがときどきある。
1塁が空いたままでは、2塁走者をアウトにするにはタッチプレーとなるが、打者を敬遠して塁を埋めれば、フォースプレイで走者へのタッチはいらない。チームの勝利のために守りやすさを優先し、あえて最強の四番と勝負するという話。
1950年6月、北朝鮮が中国、ソ連の支援を受けて突如、韓国に侵攻し、あっという間にソウルを占領、半島南端近くまで攻め込んだ。これを資本主義陣営に対する挑戦とみた米国は国連軍を編成して参戦、9月以降、一気に戦線を押し返した。
奇襲のうえ米韓が同盟関係になかったため、形勢を逆転させるまでに約3カ月を要した。現在、米韓は同盟国だが、相互防衛条約に米軍の自動介入条項がないため、69年前と同様、すぐさま反撃はできない。
野球でいえば、米韓同盟は得点圏に走者を背負いながら、常に1塁を空けているようなもの。そのかわり、即反撃の導火線となる在韓米軍が置かれているが、マティスヘッドコーチ(国防長官)が退団したいま、シリアに続く在韓米軍縮小、撤退≒同盟消滅の危機が高まっている。
9回裏のピンチ。米韓チームのベンチは敬遠(制裁)を指示するが、投手の韓国大統領は従わない。敵に塩を送るかのようにど真ん中の甘い球を投げ続け、あわや本塁打のファウル(短距離弾道弾)も脅威ではないという。
ここにきてウォンが急落、通貨危機も現実味を増すなか、反日・反米の大統領は北からも見放され、どうするつもりなのか。(静)