猫弁(大山淳子著 講談社文庫)

 以前にTBSで、吉岡秀隆、杏ら出演でドラマ化された、ハートフルミステリーシリーズの第1作をご紹介します。

 物語 39歳の心優しい弁護士百瀬太郎は天才的頭脳の持ち主だが、ボサボサ頭に古い黒ぶちメガネと冴えない外見で、お見合い30連敗中。かつて全国的にも注目を集めた「世田谷猫屋敷事件」の裁判を担当し、その天才的頭脳と優しい心根で弁護に臨んで、大量の猫を含め関係者を全員幸せにしたという輝かしい実績がある。しかし、そのおかげでペットに関するなんでも相談が事務所に山のように持ち込まれ、まともな仕事ができなくなってしまった。事務所には引き取った猫が11匹で、「猫弁」とあだ名される始末。そんな折、おかしな難題が舞い込んだ。「霊柩車が盗まれたので、取り戻してほしい」というのだ…。

 犯罪が起こるとはいえ、ミステリーというには当たらないかもしれません。ともかく楽しさ満載でキャラクターが魅力的。といっても単なるほのぼの系ではなく、計算され尽くした設定には並々ならぬ知恵が使われています。伏線がきれいに回収されるラストもすっきり。

 主人公の百瀬は金田一耕助を現代によみがえらせた感のあるおとぼけキャラで、自分の身の周りに関する日常業務の無能ぶり、事件への洞察力を発揮する時の天才ぶりの落差が読んでいて楽しい。

 シリーズは「猫弁と透明人間」「猫弁と指輪物語」「猫弁と少女探偵」「猫弁と魔女裁判」と、全5作。最終巻で、百瀬を施設に預けて行方をくらました母親の謎も解けて、完全に大団円を迎えます。

 最初の2作がそれぞれ2時間ドラマになっていますが、個性的なキャラが多いので、むしろ連続ドラマでじっくりやってほしいです。

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