ナベヅルの群れが北帰行

 3月に入り、まだ朝夕などは肌寒いが、日に日に気温は高くなる。日高地方に滞在の渡り鳥も、北を目指して飛び立つ季節である◆美浜町和田に昨年11月、渡り鳥ナベヅルが2年ぶりに飛来。初めて47羽ものナベヅルが冬を越した。これまでは多くても十数羽である。写真愛好団体会員の方から写真提供を受けて記事を書き、特集ページでも紹介したが、自分の目で明確に姿を見てはいなかった。うかつには近づけず、ズーム機能を駆使してもなかなかよくは見えないのだ◆8日昼、写真愛好家の方が警戒されずに車中から観察できるポイントへ連れていって下さった。カメラのズーム機能を最大限に駆使すると、ダークグレーの体からすらりと伸びた白い首を優雅に動かして何かついばむ姿がよく見えた。確認できたのは18羽だった◆国内に飛来するナベヅルは約1万羽。そのほとんどが鹿児島県出水市で越冬する。1つの地域に大量の個体が集中すると、伝染病の発生による大量死が懸念される。対策として、越冬地の分散が求められている状況である。当地方が滞在地となれば、ナベヅルの未来にとって明るい話である◆和田には、「鶴泊里」という地名がある。昔からその地には鶴が訪れ、冬を過ごしていたのだろう。極めて警戒心の強い鳥であるナベヅル、安心して滞在してもらうには安心できる環境が必要だ◆カメラ越しに捉えた時の優雅な動きは、くつろいで安心しているようだった。最後まで残っていたその18羽も、9日を最後に姿を消したそうだ。北帰行の途についたのだろう。次のシーズンにも来てもらえるよう、懐の大きな自然と人情がずっと保たれている土地であってほしい。(里)

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