自然に育まれた日本人の精神

 1600年以上前、仁徳天皇が難波高津宮からまちを眺め、人家に炊事の煙が上がっていないのを見て国民の困窮を知り、租税と賦役を免除したという逸話が日本書紀に記されている。

 民のため税金を免除し、自らも倹約に努め、雨漏りがする宮殿の屋根も修理せず、3年後にはかまどに煙が上がるようになった。諸国の民は朽ちた宮殿を見かね、「税金を納めたい」と願い出るが、天皇はなお3年間も税を免除した。

 立ち上る煙に民の暮らしの回復を実感し、天皇は皇后に「民あっての君主。民の豊かさこそが私の豊かさだ」と語り、雨に濡れたボロ着をまといながら、「民が豊かになって、私が貧しいなどということはない」とほほえまれた。

 はるか昔から絶えず、巨大な地震、風水害に襲われてきた日本。生き残った者は身を寄せ助け合い、自然を恐れ、八百万の神を畏れる精神性が育まれ、国民の難事を救うリーダーが生まれた。

 経世済民の聖帝仁徳天皇が没して1500年後、日本は敗戦という建国以来最大の国難に陥った。終戦直後の9月27日、昭和天皇はGHQのマッカーサー最高司令官と面会し、「国民の戦争遂行のすべての責任は私にある」と述べられた。

 天皇が命乞いに来たと思っていたマッカーサーは、自らの命と引き換えに国民を救い、連合国の援助を願い出た天皇に激しく感動し、日本の占領統治と復興には天皇が絶対不可欠な存在であることを確信した。

 4月30日で譲位される天皇陛下も、常に国民の幸せを第一に、世の安寧を祈り続けられた。このまぎれもない事実のうえにいま、隣の国とはまったく異なる日本人の心の美しさを強く感じる。天皇、皇后両陛下に心から感謝を申し上げたい。(静)

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