みなべでウミガメシンポジウム

 紀伊半島ウミガメシンポジウム「保護活動の歩みと未来」が26日にみなべ町生涯学習センターで開かれ、和歌山県と三重県でウミガメの調査や保護活動を行っている7団体が意見を交わした。席上、NPO法人日本ウミガメ協議会の松沢慶将会長が「ウミガメ保護活動の今昔、そして未来」のテーマで講演し、「ウミガメの産卵環境を守り、調査する後継者〝カメ仙人〟の育成が大切だ」などと訴えた。

 主催は環境省近畿地方環境事務所で、共催する紀伊半島ウミガメ情報交換会の結成30周年を記念して開催された。県内からはみなべウミガメ研究班、新宮市海ガメを保護する会、玉ノ浦リップルズクラブ、すさみ町立エビとカニの水族館の4団体、三重からは三重大学かめっぷり、ウミガメネットワーク、紀宝町ウミガメ公園の3団体が出席した。

 松沢会長は講演で、全国的なウミガメの上陸・産卵回数の推移などについて「昨年は全国的に、アカウミガメの産卵が前年から半減した。ここ4、5年、減少傾向にある」と説明。考えられる要因の1つとして中国での密漁を挙げ、「標識を付けたウミガメの回帰率は海外では7~8割だが、日本では3~4割と低い。中国でウミガメが密漁されており、1台のトラックから128頭が見つかったこともある」と述べた。他の要因としては「子ガメから母ガメになるまでに40年かかる。40年前ごろに産卵が少なかったこともあるかもしれない。また、日本沿岸で漁業者の網に間違って引っかかるなどが影響している可能性もある」と指摘した。今後、取り組まなければならないこととしては「浜の環境が大切。構造物を建設すると砂浜が侵食され、ウミガメの産卵環境が悪化することもある。浜辺に何か建設する場合は注意が必要」と訴えたほか、「調査する人があまり頑張りすぎないことも大切。一緒に調査をやってくれる人がいなくなる。楽しみながらすることが、調査や保護活動の継続につながる。ウミガメは絶滅危惧種だが、ウミガメに興味を持って保護活動や調査を行ってくれる〝カメ仙人〟を育成することが大事」と呼びかけた。

 各団体が行っている調査などの活動についても報告され、みなべウミガメ研究班は尾田賢治代表がスライドを使って発表。「教師だった上村修さんが1980年から調査を開始し、その後に後藤清さんが引き継いだ。2010年からは、青年クラブみなべの歴代会長らOBが研究班のメンバーとして調査や保護研究を行っている」などと経緯を説明。活動については各種団体と協力しながら浜の清掃なども実施していることなど紹介した。千里の浜の状況についても、「昨年の上陸回数は162回、産卵は59回だった。過去最も多かったのは上陸が900回(1990年)、産卵が348回(91年)、逆に最も少なかったのは上陸が69回(98年)、産卵が29回(98年)」と報告した。県内や三重県の他の団体からは「浜が侵食され、産卵環境が悪化してきている」などという声も聞かれた。

写真=ウミガメの現状について説明する松沢さん

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