県勢初Vにあっぱれ
- 2018/12/13
- 日高春秋
「エースはすごい球を投げるが、打線は少し非力。4年前(全国選抜大会4位)のチームと比べるとまだまだ」。中学生硬式野球・関西№1決定戦「第14回タイガースカップ」で県勢初となる優勝を飾った紀州由良リトルシニアの新チーム公式戦初戦を観戦した正直な感想はそんなところだった。その試合から2カ月半ほどがたったいま、選手たちの成長に驚かされている。
和歌山ブロック予選は3勝2敗で2位通過。第4戦まで主砲をけがで欠く苦しい戦いを強いられた。それでも強豪の南部を破って望みをつなぐと、最終戦は復帰した主砲が大暴れ。粉河に快勝し、関西大会の出場権を獲得した。メンバーがそろった関西大会では4位入賞。4年ぶり2回目のタイガースカップ出場を決めた。
主砲が欠場の間、五分に踏ん張れたのが大きい。主砲の復帰後は下位打線やつなぎ役の選手が大活躍したのが印象的。とくにタイガースカップ決勝は2、3番手投手が素晴らしい投球を見せた。「チーム全員の力で勝つんや」。原政隆監督らスタッフが戦前に掲げた通り、結束力を発揮できた結果が栄冠につながったことと思う。
野球は4番打者ばかりを集めても勝てないとよくいわれる。つながりや役割分担などが必要で数字に表せない力も勝敗を大きく左右する。紀州由良は主砲の故障の間に他の選手が穴を埋めるプレーをきっちりと果たし、技術的なレベルも上げたのだろう。主砲が復帰後は戦力が増しただけでなく、お互いカバーし合ってきたことで結束力も高まり、好成績を残せたように感じられる。チームワークの大切さを知らしめた戦いぶりに、あらためてあっぱれ。(賀)