林さん 島崎藤村記念文芸祭で一席受賞

 総合進学塾、英数スタディー(御坊市藤田町藤井)で現代文・古文・英語の講師を務める傍ら小説を執筆している林晋作さん(44)=御坊市野口=は、第12回島崎藤村記念文芸祭の創作部門で1席を受賞。岐阜県中津川市で行われた授賞式にも出席し、賞状を手に「これからも一層精進していきます」と、今後の創作活動へ意欲を燃やしている。

 同市出身の島崎藤村にちなんで毎年開催。現代詩・短歌・俳句・エッセイ・創作(小説)の5部門で作品を公募しており、今回は2045点の応募があった。創作部門は65点。

 林さんは、6年前には時代小説「おもんの錐(きり)」で長塚節文学賞佳作入賞、ことし1月に「守銭奴」で北九州市文学賞特別賞を受賞している。今回の1席入賞作品は、江戸時代を舞台とした原稿用紙11枚分の短編「雪を施す男」。大雪の江戸の町で、子どもたちに雪うさぎを作ってやる行商風の男がいた。手のひらに乗る大きさで、非常に精巧な出来栄え。赤い南天の実でかわいい目を作っている。子どもたちは喜んで受け取り、様子を見ていた侍風の老人も1匹を1文で買い取る。実は侍は隠居した同心で、男の顔に取り逃がした盗賊の面影を見たのだった。やがて雪うさぎが溶ける頃、「中から小判が現れた」と貧しい子どもたちの親から喜びの声がきかれる。その頃、甲州街道を旅する男は宿で病気に倒れており…。温かい感動を呼ぶ好短編。審査員は、元編集者で「介護はつらいよ」の著書がある大島一洋氏。講評で「昔懐かしく、最後に救いがある」と述べている。林さんは「賞をいただくたびに、結果を出すことの難しさを思い知らされます。執筆は苦難の連続です。限りある時間を無駄にせず、これからも精進していきます」と、あらためて創作への決意を話している。

写真=賞状を手に林さん

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