新時代へ引き継ぐ教訓
- 2018/12/8
- 日高春秋
昭和天皇が崩御されたとき、筆者は中学2年生だった。故・小渕恵三官房長官(当時)が「新しい元号は『平成』であります」と色紙を手に発表した映像はいまでも印象に残っている。多感な学生時代、この仕事に就いて約22年、生まれたときの昭和よりも愛着のある平成が終わろうとしている。過ぎてみればあっという間だが、この30年、人生の転換期をいくつも経験した。少し寂しい気持ちにもなるが、新しい元号は何になるのだろうかと楽しみもある。「国の内外、天地とも平和が達成される」という平成に込められた意味からも、元号が変わっても平成であり続けてほしいと願う。
読売新聞が全国の18歳以上の3000人に行った全国世論調査で、平成を象徴する国内の出来事1位は東日本大震災(平成23年)だった。2位は地下鉄サリン事件など一連のオウム真理教事件(平成7年ごろ)、3位が阪神大震災(平成7年)。筆者が思い浮かべたのもこの3つで、もう一つ加えたいのは、北朝鮮の拉致被害者5人が帰国したこと。いまだ多くの拉致被害者が北朝鮮に残されたままだ。新聞記事等で横田めぐみさんの両親ら家族の思いに触れるたび、新元号を待たずして、一日も早く帰国がかなってほしいと心から思う。
同じ調査で、社会に与えた影響が大きい変化は、最多の「東日本大震災など大災害」に次いで「スマートフォンの普及」「インターネットなど情報通信技術の進化」が続いた。あふれる情報は恩恵も大きいが、新たな脅威として人の生活を脅かし、犯罪の温床になるケースもある。情報を見極める人間力を養うことが求められている表れでもあろう。新元号へ引き継ぐ教訓の一つにしたい。(片)