三段壁の自殺防止へ女子中高生がプロジェクト

 上富田町と白浜町に住む女子中高生2人が、「自殺の名所」として知られる三段壁(白浜町)のイメージチェンジと自殺志願者を救うプロジェクトに取り組んでいる。先月、大阪で開かれた若者の力によるヘルスケアの社会課題解決を目的とした「inochi 学生・未来フォーラム」では、約700人を前にプレゼンを行い、見事、最優秀賞を受賞。「実現可能性が高い」「地元愛が強い」などと高い評価を受けた。

 プロジェクトに取り組んでいるのは、智辯学園和歌山高校1年の仁木陽香さん(16)=上富田町朝来=と、同中学校3年の西村彩那さん(15)=白浜町堅田=。いまも年間平均12・4人が投身自殺している三段壁の自殺防止対策として、「ロードブループロジェクト」を提案し、その実現に向け活動している。

 「ロードブループロジェクト」は、三段壁の駐車場から自殺ポイントとなっている岬へ続く遊歩道に、人感センサーとブラックライトを設置し、夜に人が歩けば地面に蓄光塗料で描いた貝殻などの絵が青く光るというアイデア。現場は夜になると真っ暗で、2人は木々が生い茂る足場の悪い遊歩道が自殺を誘発してしまうと考え、明るい雰囲気に変えることで自殺を思い留まらせたいという。

 青い色には沈静効果があり、駅のホームや踏み切りなどで青色LEDの照明を設置し、自殺対策に効果を上げていることをヒントにしている。また、センサーが自殺志願者特有の行ったり来たりする人の動きを感知すれば、警察が既存の監視カメラをチェックし、不審な人物がいれば自殺者救済・自立支援を行っている白浜レスキューネットワークに連絡が入り、現場に駆けつける仕組みになっている。

 2人は以前から若者の自殺や子どもの虐待といった社会問題に関心があり、学校に届いたフォーラム参加者募集の案内を見て、ことしのテーマが「自殺」だったことから、仁木さんが西村さんを誘って一緒にプロジェクトを立ち上げた。

 講義やワークショップを経て、プランの中間発表など選考を勝ち抜き、11月25日にグランフロント大阪で開かれたinochi学生・未来フォーラムへ出場。国内外の医大生チームなど6組が最終プレゼンを行い、2人は「Lupinus(ルピナス)」というチーム名でプロジェクトを発表した。

 現在は、自然国立公園の三段壁でプランの実装実験を行うための許可を申請中。実験に必要な資金10万円はすでにクラウドファンディングで調達済みで、許可が下り次第取りかかる。

 仁木さんと西村さんは「プランはたくさんの人に助言や応援をしてもらってつくり上げました。まだクリアしなければならない課題はありますが、必ず実現し、恋人の聖地である三段壁での自殺を食い止め、同じような取り組みのモデルになればと思います」と話している。

写真=ロードブループロジェクトを進める仁木さん㊧と西村さん

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