津波被害が懸念されているみなべ町内の3保育施設を高台に移転する計画で、町は13日、町生涯学習センターで開かれた第2回子ども子育て会議の席上で「東吉田と南道にまたがって建設中の防災拠点施設用地内に統合移転し、民設民営化によるこども園を2022年4月に開園させたい」との考えを示した。施設建設や運営は社会福祉法人イエス団愛之園(本部・神戸市)に移管する方針。
統合移転の対象の保育施設は、海岸部にある南部幼稚園(芝)、南部保育所(東吉田)、愛之園保育園(埴田)。近い将来に南海トラフ巨大地震の発生が懸念されており、2017年3月に策定された第2回みなべ町長期総合計画でも、3園の高台への移転を緊急課題としていた。愛之園保育園は民間施設だが、町の認定保育所でもあることなどから、公立施設と同様に町が主体となって移転を推進してきた。
計画によると、3園統合の施設は幼稚園と保育所を一体化させた幼保連携型認定こども園とし、定員180~200人の規模。民営化することで、町費削減額が3園で年間約7200万円となる試算をしている。
子ども子育て会議(望月和夫会長、委員15人)では、小谷芳正町長が「民間に移管しても、町の子どもたちの保育施設。開園までの支援のみならず、運営にも関与していきたい」とあいさつした。豊田泰猛教育長はこれまでの経過、新しい施設の方針などについて説明し、「スムーズに統合できるように、開園前から園児の交流の場を設けるなど配慮して進めていきたい」と述べた。移管先となる愛之園の神谷羊子園長は「一大プロジェクトで、町や関係の皆さんと協力しながら進めていきたい。『愛之園に任せてよかった』と言っていただけるような施設にしたいと考えている」と語った。委員からは「子どもたちとゆっくりと向き合えるような保育環境が必要」「子どもの保育だけでなく、親に対しても向き合っていくことが大事」などという声が上がっていた。