老健施設解雇無効請求訴訟に判決

 勤務先の不正行為を内部告発したことなどを理由に解雇されたのは不当だとして、元職員の男性が美浜町田井の医療法人はしもとに解雇の無効確認や損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、和歌山地裁であり、中山誠一裁判長は解雇が無効と認め、未払い給与の支払いなどを命じる判決を言い渡した。

 提訴したのは、日高町の出口和広さん(42)。訴状などによると、出口さんは2008年6月から同法人が運営する介護老人保健施設で臨時の介護職員として働き始め、13年3月には法人の資金援助を受けて理学療法士の資格を取得。その後も理学療法士として勤務していたが、医師や職員の水増し登録、不十分な介護、身体拘束等の虐待など法令を無視した施設運営について、14年8月、証拠資料を添えて県などに通報した。

 15年10月には理事長による入所者への暴行事件が発生。出口さんは12月4日、業務連絡として他の職員を集め、警察に事情を説明することに協力を求めた。これに対して法人は12月10日、「重大な信頼関係破壊行為にあたる」などとして、出口さんを解雇した。

 出口さんは16年3月、解雇は不正を隠すための報復的、調査妨害目的の措置であり、労働契約法に抵触するだけでなく、公益通報者保護法を無視した悪質な不法行為だとし、理学療法士として就労する雇用契約上の地位確認(解雇の無効)、解雇後の未払い賃金、慰謝料などを求めて提訴した。

 法人側は裁判で、理事長による入所者への暴行事件は、解雇通告当時、すでに入所者本人と家族に謝罪し和解が成立、県や警察による調査も終わっていた││などと説明。事件を蒸し返した出口さんの言動は職場の秩序を混乱させるもので、解雇は合理的で正当だった主張したが、判決は「解雇を客観的に合理化できる理由があるとはいえない」などと、雇用契約上の権利を有する地位にあること(解雇の無効)を認め、解雇後の未払い賃金の一部支払いを命じたが、慰謝料の請求は棄却した。

 判決後、出口さんは記者会見を開き、「雇用契約上の地位を理学療法士として認められなかったことや、慰謝料の請求を棄却されたことは残念だが、理事長の暴行事件は軽視できないとし、私が職場の仲間に(一緒に警察へ行こうと)呼びかけたことは正当な行為だったと認めてもらえたことはありがたい。ただ、納得できない部分も多いので、控訴も検討したい」などと話した。

写真=判決後の会見で記者の質問に答える出口さん㊥と訴訟代理人の芝野友樹弁護士㊨ら

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