人との摩擦は避けられない

 文部科学省の小中高校生の問題行動・不登校調査によると、昨年度に全国で認知されたいじめの件数は41万4000件を超え、前年度より9万件以上増えて過去最多となった。急増の背景には、けんかやふざけ合いも含め、小さな芽を早期に見つけて対応せよという国の方針がある。

 いじめを苦にした自殺は10人で前年度と変わらなかったが、テレビでは連日、愛媛県のご当地アイドルの少女の自殺と遺族の訴訟がニュースとなっている。原告の遺族と会社側の主張は対立しており、法廷でどこまで事実が明らかにされるのか。

 思春期の子どもの自殺の原因は、いじめ以外にも進路の悩みや家庭内の不和などさまざま。テストの点数や見た目、運動能力の「違い」を縦の関係で捉え、同級生ら周囲を敵視し、何事も勝ち負けで判断する考え方が危うい。

 学校や社会で生活するうえで、人との摩擦は避けることができない。教室でも職場でも家庭でも、対人関係に疲れたとき、いっそ人との付き合いを断ち切ってしまいたい…というのは、多くの人が一度は思ったことがあるのではないか。

 病気、老衰、不慮の事故、災害、事件…人の死はどれも家族、友人にとって悲しみは大きいが、自殺は残された人をより深く悲しませ、心を激しく攻めたててしまう。また死なずとも、煩わしい社会から離れ、1人で生きようと決意したとしても、誰とも深い関係は築けず、生きる喜びを得られない。

 ベット・ミドラーの名曲「The Rose」は、愛は花、君はその種であり、冷たい雪の下に埋もれた種も、春になれば太陽の光を浴びてバラの花を咲かせるとうたう。人との摩擦を恐れ、死ぬことに怯えていては、自分の人生を生きることができない。(静)

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